スポーツドリンクがもたらす意外な落とし穴 ~飲み過ぎが歯に与える影響とは?~
こんにちは。
西明石にある歯医者、ゆたに歯科クリニックの中島です。
暑い日が続いていますね。
暑い日や運動時に欠かせない存在となったスポーツドリンク。
「水分補給にいいから」と、日常的に飲んでいる方も多いのではないでしょうか?
しかし、実はその“飲み方”によって、思わぬところで体に悪影響が出ることがあります。
今回は、あまり知られていない「スポーツドリンクと虫歯」の関係についてお話しします。
スポーツドリンク=健康にいい、は本当?
スポーツドリンクは、運動や発熱などで失われた水分・電解質(ナトリウムやカリウムなど)を効率よく補給できるように作られています。一見「体にいい飲み物」というイメージがありますが、実は成分表をよく見ると、意外と糖分が多いことに気づくはずです。
例えば、ある市販のスポーツドリンク(500ml)には、角砂糖に換算して5~7個分の糖分が含まれています。これはジュースや炭酸飲料とほとんど変わらないレベルです。
虫歯の原因になるのは「糖分+時間」
虫歯は、口の中の細菌が糖分をエサにして「酸」を作り出し、その酸が歯を溶かしていくことで発生します。
ポイントは **「糖分が歯に触れている時間」**です。
つまり、糖分が入った飲み物をちびちび、ダラダラ飲み続けることで、口の中が長時間酸性の状態になり、虫歯ができやすくなってしまいます。
実際にあったケース:部活帰りの高校生
ある高校生は、夏場の部活後に毎日スポーツドリンクを1本飲む習慣がありました。しかも、帰り道に少しずつ時間をかけて飲むスタイル。歯みがきは夜に一度だけという生活を続けていたところ、半年ほどで前歯や奥歯に小さな虫歯が複数見つかりました。
「甘いお菓子はあまり食べないのに、なぜ?」と驚いていましたが、原因はスポーツドリンクの“飲み方”にありました。
「酸性の飲み物」にも注意
スポーツドリンクは糖分だけでなく、「酸」も含まれています。口の中が酸性に傾くと、歯の表面のエナメル質が溶けやすくなります(これを**酸蝕症(さんしょくしょう)**といいます)。特に、レモン味やグレープフルーツ味などはpHが低く、酸性度が強めです。
そのため、「甘くないスポーツドリンクだから大丈夫」というわけではないのです。
スポーツドリンクを飲むときのポイント
虫歯リスクを下げるために、以下のような工夫をしてみてください。
◎ ゴクゴク飲んで、だらだら飲まない
口の中に糖分が長時間とどまることを避けましょう。
◎ 飲んだ後はうがいを
水やお茶で軽くうがいするだけでも効果があります。
◎ 普段の水分補給は水やお茶で
スポーツドリンクは「必要なときだけ」に限定するのがベストです。
◎ 歯みがきは就寝前に丁寧に
夜は唾液の分泌が減るため、虫歯リスクが最も高くなります。
小さなお子さんにも要注意
最近では、熱中症対策としてスポーツドリンクを保育園や小学校で飲ませるケースも増えています。
しかし、成長期の子どもほど歯が未成熟なため、虫歯になりやすい傾向があります。
「水筒の中身はお茶や水」「汗をかいたときだけスポーツドリンクを活用する」など、親御さんの意識も大切です。
まとめ
スポーツドリンクは、正しく使えば熱中症対策に役立つ便利な飲み物です。
しかし、飲み方を誤ると、虫歯や酸蝕症などのリスクが高まるという落とし穴もあります。
「毎日飲んでいるけれど、歯のことまでは考えたことがなかった…」という方は、一度生活習慣を見直してみましょう。
当院では、虫歯予防のための食習慣・飲み物習慣についてのご相談も受け付けています。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。