第2回(担当:渡邊ドクター)

スタッフ紹介渡邊先生

1. 口腔がんの早期発見

歯科医院での定期健診といえば、むし歯や歯周病のチェックというイメージが強いと思います。もちろんそれらが主な目的なのですが、歯科医院での定期健診で発見できるものはそれだけではありません!

皆様は「口腔がん」というものをご存知でしょうか?文字通り、口腔(お口の中)にできるがんです。口腔がんは、発生する場所によって以下のように分類されています。

① 舌がん②歯肉がん③口腔底がん④頰粘膜がん⑤口蓋がん⑥口唇がん

このように舌やその周辺、歯肉や粘膜など、お口の中はあらゆるところにがんができる可能性があるのです。
口腔がんが発生する年齢としては、50~70歳の男性に多いと言われています。しかし、20~40歳で口腔がん(特に舌がんが多い)を発症することもあるのです!実際、若い年齢で舌がんを発症し、12時間を超える大きな手術をされた患者さんを大学病院に勤務していた頃に何人も目にしました。また、大学病院などの高度医療機関に紹介される患者さんは、開業医や市中病院からの紹介が大部分を占めます。
このように、歯科医院で定期的にお口の中全体をチェックすることは非常に重要なのです!

2.口腔がんかも?

口腔がんの可能性がある初期症状として注意したいのが、以下のような症状です。

①なかなか治らない「腫れ」や「しこり」がある

肥大していたり、触ってやや硬くなっているところは要注意です!

②粘膜が赤くなっていたり、白くなっているところがある

「白板症」や「紅板症」などの前がん病変(放置しておくとがんに移行する可能性が高い病変)かも?

③治りにくい口内炎はありませんか?

2週間経っても治らないお口の中の荒れは要注意です!

④合わない入れ歯を無理して使ってませんか?

がたついたり、噛むと痛みがある入れ歯を長く使っていると、

その刺激でがんが発生する可能性があるので要注意です!

⑤食べ物が飲み込みにくくなった?

舌や頬の動きが悪い・しびれや麻痺がある

などの症状があると要注意です!

どれか一つでも当てはまるものがあれば、一度歯科医院を受診することをお勧めします!

3.口腔がんになりやすい生活習慣

口腔がんになりやすい生活習慣として、以下のものがあります。

①喫煙

口腔がん発生の最大のリスクファクターといわれています。喫煙者の口腔がん発生率は非喫煙者に比べ約7倍も高く、死亡率は約4倍も高いという報告があるほどなのです!

②飲酒

喫煙に次ぐリスクファクターといわれています。特に50歳以上の男性で、毎日たばこを吸い、なおかつお酒も飲まれる方は最も危険です

③その他

・お口の清掃不良

・虫歯の放置

・合わない入れ歯や破れたかぶせ物のなどによる慢性的な刺激

・  栄養不良

ですので日ごろから気をつけることとしては、

(1)たばこ、お酒を控える

(2)バランスの良い食生活を心がける

(3)歯磨きやうがいを習慣化して口の中を清潔に保つ

(4)合わない入れ歯、破れたかぶせ物、治療していないムシ歯があれば放置せず、治療を受ける

お口の中も、全身も健康になりましょう!

④「がん」=「カニ」??

「がん」は英語でCancerと言います。また、甲殻類のカニもCancerと言います。がんとカニ、どうして同じ名前なのでしょうか?

最初にがんをカニに例えたのは、古代ギリシャの「医学の父」と呼ばれる医聖ヒポクラテスだと言われています。古代ギリシャではすでに乳がんの外科的治療が行われており、切り取ったがんの断面を観察した時に、がんが周りの組織に浸潤している様子が「カニ」のように見えたからだという説があります。また、進行した乳がんが皮膚に引きつれを起こす様子が、ちょうどカニの甲羅に見えたからだという説もあります。いずれにしても、ヒポクラテスが最初に「がん」と「カニ」を関連させたことは事実のようです。

もしかしたら、がんが再発することとカニが何度も脚を再生することが名前の由来なのかも?というのは僕の勝手な説です(笑)

⑤歯科医療のシンボル

世界中の病院や救急車、医療関係の組織などのマークに使用されている、ヘビが杖に巻きついた絵を見たことがありますか?「アスクレピオスの杖」という、ギリシャ神話に登場する杖がモチーフになっています。どうしてヘビとギリシャ神話なのでしょうか??

ヘビは表面がどんなに傷ついても、脱皮をすると元通りの傷一つない姿に戻るという性質を持っているため再生と治癒のシンボルとして医療にしばしば用いられています。また、アスクレピオスというのはギリシャ神話に登場する名医であり、優れた医術で死者すら蘇らせ、のちに神の座についたとされることから医神として現在も医学の象徴的存在となっています。そのアスクレピオスが持っていたのが、ヘビの巻きついた杖だそうです。このアスクレピオスの杖は、医療の象徴として世界的に広く用いられています。

アスクレピオスの杖をシンボルマークとして使用している歯科医院も多数ありますが、「アポロニア」という名前を聞いたことがあるでしょうか?アポロニアはローマ帝国時代のアレクサンリアで殉教したキリスト教徒であり、言い伝えによると彼女は歯を全て乱暴に引き抜かれたか、粉々にされるという拷問を受けたそうです。想像しただけでも恐ろしいですが、その言い伝えのためアポロニアは歯科学や歯痛を患う者、歯に関する問題全ての守護聖人として崇敬されており医院名や書籍にその名を冠している場合もあるようです。

以上、医療や歯科治療のシンボルについてでした。

文責 渡邊 一博