「アマルガム」それはお口の中に潜む【水銀】

今でもお口に残る「アマルガム」

ゆたに歯科クリニックに初診で来られた50代の男性がいらっしゃいました。お名前を仮にKさんとします。

Kさんは左下の奥歯が痛く、むし歯ではないかと心配になり来院されました。
お口の中を診させていただくと、たしかに左下の奥歯が虫歯になっています。しかし、レントゲンで確認した結果、実際にもっとひどい状況になっていたのは反対側の奥歯、つまり右下の奥歯でした。

なぜKさんは右下の奥歯について何も痛みを感じていなかったのでしょうか。

実はKさんの右下の奥歯には「アマルガム」と呼ばれる歯科治療材料が入っていたのです。
アマルガムは30年ほど前まではごくごく普通に使用されていた歯科用治療材料なのですが、高濃度の水銀が含まれているため、だんだんと使用されなくなり、現在では使用する歯科医師がほとんど居なくなった治療材料です。

Kさんは数十年前に右下奥歯の治療を行っていました。その際、治療箇所にアマルガムを充填していたのです。

アマルガムに含まれる高濃度の水銀は神経に作用するため、痛みを抑えてくれるというメリットがある反面、熱で溶けやすいために隙間が出来やすく、一旦治療した箇所がもう一度むし歯になってしまう「二次カリエス」になりやすいというデメリットがありました。

この時、Kさんの右下奥歯も二次カリエスになってしまっていましたが、水銀の作用で痛みが抑えられ、結果的にひどい状況になるまで放置してしまったのです。

Kさんの歯は結局どうなったのか。

痛みを感じていた左下奥歯は治療をして残すことができましたが、アマルガムが入っていた右下奥歯は残念ながら抜髄(「ばつずい」:治療のために神経を取り除くこと)になってしまいました。

お口の中にアマルガムがある場合はどうすればいいの?

ご自分のお口の中にアマルガムがあるのかどうか、ご存じの方は少ないと思います。もちろん歯科医師、歯科衛生士が診ればすぐに分かります。

「アマルガムがあるかどうか知りたいだけで歯医者さんに行っていいの?」
というご心配をされる方がいらっしゃいますが、全く問題ありません。
しかもその検診で他の問題点の早期発見が出来るかもしれないというメリットもありますので、是非お越しください。

そして、あなたのお口の中に実際にアマルガムがあった場合、治療としては下記の手順になります。

①アマルガムを取り除く
②むし歯になっていないかどうか、状態をチェック
③(むし歯の場合)虫歯になった歯を削ります。(場合によっては根管治療になります。)
③(むし歯でなかった場合)アマルガムを取り除いた後の歯を、詰め物を入れるために形成します。
④型どり(印象)を行います。
⑤インレーと呼ばれる詰め物をセットして終了です。

回数としては、むし歯がなかった場合3回程度です。(症状によって増減することがあります。)